愛猫のためにできること
大切なご家族である愛猫が健康で過ごせるように以下の点に注意しましょう
混合ワクチン
様々な伝染病の予防のためにワクチンを接種しますが、当院では主に3種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫パルボウイルス感染症)を使用します。初年度は2回、その後は状況により1〜3年ごとの接種をお勧めしています。当院で接種した場合、次回予定日の一週間程前にはお知らせ葉書をお送りしています。
猫白血病・猫エイズ
どちらの病気も母ネコから直接またはネコ同士のけんかや濃厚な接触から感染するウイルス病です。猫白血病ウィルス感染は3歳くらいまでにリンパ腫(血液の癌)等を発症して死亡する事が多い感染症です。猫エイズウィルス感染は生涯無症状で過ごせるものから様々な症状と関連し死亡するような状況までありますが、比較的高齢での発症が多いようです。ワクチンで予防ができますが、接種する前には血液検査で陰性の確認が必要です。
寄生虫対策
フィラリア症対策
ネコもイヌと同じように蚊により犬糸状虫が感染し、無症状から突然死まで様々な症状を発現します。生前診断は非常に困難ですので予防が重要です。5月から12月頃まで毎月1回の投薬をお勧めします。
ノミの対策
ノミが感染した動物との接触やノミの繁殖場所を通ることで感染します。外出しないネコでも寄生する場合があります。ノミに寄生されると無症状の場合もありますが、刺された部位の痒み・ノミアレルギー性皮膚炎・瓜実条虫感染につながります。ヒトも刺されます。さらに猫ひっかき病(ヒトの病気)の病原体を媒介しているとも言われています。一度室内でノミが繁殖するとなかなか駆除できません。ノミの季節になったら早めに予防と駆虫を行ないましょう。
マダニの対策
マダニは野生哺乳動物が持ち運んでいますが、特にシカの出没する場所では注意が必要です。完全な室内飼育の場合は寄生する可能性は低く、また当院周辺においては外で生活するネコでも寄生していることはあまりありませんが、近年ではSFTS(急性熱性血小板減少症候群:ヒトの病気)が感染し、そのネコからご家族にも感染することが疑われています。人も命を落とす危険性のある病気ですので対策をしっかりする必要があります。
腸内の寄生虫駆除
様々な腸内寄生虫が感染し、ネコからヒトへ感染する場合もあります。主な寄生虫は猫回虫・瓜実条虫・マンソン裂頭条虫などです。ノミがいれば瓜実条虫が感染し、全く外出しなくてもゴキブリ等昆虫の捕食により猫回虫などは感染します。定期的な検便と駆虫が重要です.。
予防と対策
様々なタイプの薬がありますが、フィラリア予防・ノミやマダニの対策・消化管内寄生虫(回虫・鉤虫・瓜実条虫・猫条虫・多包条虫)の対策が一度にできるお薬もあります。状況に合わせて薬を選ぶことが大切です。
口腔衛生
歯垢や歯石は歯肉、歯根の感染や炎症につながり口臭や口の痛みなどの症状がでてきます。放置すれば心臓、肝臓、腎臓等に障害を起こす可能性があり、家庭での歯磨きが大切です。子どもの時から練習して徐々に慣れさせていくようにしましょう。「歯磨きブラッシング」と言う比較的簡単な歯磨き方法もあります。最近では様々なデンタルケア製品がありますので歯磨きと併用すると良いようです。悪化した場合の歯石除去や抜歯等は通常全身麻酔にて行なう必要があります。
避妊去勢手術
妊娠、出産を希望しない場合は、避妊去勢手術をお勧めします。雄雌とも生後6ヶ月頃に行います。この時期に実施することで様々な問題が回避できます。
避妊手術(雌)
卵巣摘出または卵巣と子宮の摘出をします。
良い点
- 発情がなくなります。
- 妊娠しません。
- 将来の卵巣や子宮の病気を予防します。
悪い点
- 全身麻酔の危険性があります。ただし、将来病気になってからするよりも若く健康な時期の方が安全です。
- 太りやすくなります。活動性が少し落ち食欲は増す傾向があり、また体質的にも太りやすくなるからです。食事の管理をきちんと行なうことで肥満は防ぐことができます。
- 一時的な膀胱炎が起こる可能性があります。
去勢手術(雄)
左右の精巣を摘出します。潜在精巣(陰睾)がある場合はきちんと摘出することが大切です。両側または片側におこりますが、腫瘍になる確率が正常な精巣よりも高いと言われています。
良い点
- 雄としての気の荒さを抑え、喧嘩や外出が少なくなったり、無くなったりします。
- 発情期の雌を追いかけることがなくなります。
- 尿スプレ−行動が起こりにくくなります。
- 一般的に雄特有の尿臭が弱まります。
- 妊娠させません。
- 将来の精巣腫瘍を予防します。
悪い点
- 全身麻酔の危険性があります。
- 太りやすくなります。活動性は少し落ち食欲が増す傾向にあり、また体質的にも太りやすくなるからです。食事管理をきちんと行なう事で肥満は防ぐことができます。
- 問題行動の対策として行った場合、期待する効果が認められないことがあります。その場合は他の要因も関わっているかも知れません。早めに相談して下さい。